令和6年度 大崎市民 病院情報の公表

病院指標

  1. 年齢階級別退院患者数
  2. 診断群分類別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)
  3. 初発の5大癌のUICC病期分類別並びに再発患者数
  4. 成人市中肺炎の重症度別患者数等
  5. 脳梗塞の患者数等
  6. 診療科別主要手術別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)
  7. その他(DIC、敗血症、その他の真菌症および手術・術後の合併症の発生率)

医療の質指標

  1. リスクレベルが「中」以上の手術を施行した患者の肺血栓塞栓症の予防対策の実施率
  2. 血液培養2セット実施率
  3. 広域スペクトル抗菌薬使用時の細菌培養実施率
  4. 転倒・転落発生率
  5. 転倒転落によるインシデント影響度分類レベル3b以上の発生率
  6. 手術開始前1時間以内の予防的抗菌薬投与率
  7. d2(真皮までの損傷)以上の褥瘡発生率
  8. 65歳以上の患者の入院早期の栄養アセスメント実施割合
  9. 身体的拘束の実施率
年齢階級別退院患者数ファイルをダウンロード
年齢区分 0~ 10~ 20~ 30~ 40~ 50~ 60~ 70~ 80~ 90~
患者数 836 207 289 387 775 1198 2526 4257 2266 555
 当院は,地域がん診療連携拠点病院としてがん診療を担うとともに,救命救急センターを有する県北の唯一の病院として救急医療にも尽力しております。
 また,地域医療支援病院である当院は,地域医療の中核として,質の高い医療を幅広い年齢層の患者さんに提供しています。
 一方,地域周産期母子医療センターにも指定されており,妊娠後期から新生児早期までの周産期医療に力を入れていることから,新生児・乳幼児の件数が多い傾向にあります。NICU(新生児集中治療室)を配置し,産科・小児科の連携の下,安心したお産のできる病院を目指します。
 令和6年度における,当院の退院患者数は13,296人でした。特に,当地域での高齢化を反映して,60代以上の割合が多くなり,全体の7割以上を占めています。
診断群分類別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)ファイルをダウンロード
呼吸器内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
040040xx99040x 肺がんの化学療法(分子標的薬以外) 141 3.50 8.16 0.00% 72.68 経口抗悪性腫瘍薬
040040xx9910xx 肺がんの検査(診断穿刺) 104 6.08 3.03 0.66% 72.76 内科用気管支鏡前日入院用
0400802499x0xx 肺炎の治療 61 16.62 16.40 40.74% 84.58
040110xxxx00xx 間質性肺炎の治療 35 15.60 18.68 22.86% 75.48
040040xx9900xx 肺がんの治療(化学療法以外) 33 9.18 13.41 33.33% 74.16
 呼吸器内科では,肺がんや肺炎等の治療のための入院が多くなっています。
 令和6年度は肺がんの検査や治療を目的とした入院が多くランクインしており,その中でも肺がんの診断をするための検査が最も多くなっています。当科は,呼吸器外科・放射線治療科・腫瘍内科等と密接に連携し,診断と治療を行っています。
 また,肺炎の患者さんも多く,一般的に高齢になるほど重症になる傾向があります。
循環器内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
050070xx03x0xx 頻脈性不整脈の治療(心臓カテーテル治療) 154 5.32 4.47 0.00% 67.97 高周波カテーテルアブレーション(RFCA)術3泊4日
050130xx9900x0 心不全の治療 107 17.55 17.33 40.00% 81.18 心臓カテーテル検査2泊3日
050050xx0200xx 狭心症などの手術(心臓カテーテル治療) 99 5.37 4.18 1.01% 69.57 経皮的冠動脈形成術(PCI)
050050xx9920xx 狭心症などの心臓カテーテル検査(血管内超音波検査を伴うもの) 90 3.62 3.27 0.00% 70.02
050210xx97000x 徐脈性不整脈の手術 85 8.35 9.59 6.98% 79.29
 循環器内科での最も多い症例は,不整脈治療としての高周波カテーテルアブレーション術です。特に,心房細動を起こした患者さんに対する原因検索・治療を行っています。
 また,心臓に栄養を送る冠動脈の詰まりを評価するカテーテル(細長い管のこと)検査を多数行っています。
 近年,高齢化に伴い,心不全患者が増加しており,心不全パンデミックと言われています。心不全の原因検索を行い複数の心不全治療薬の適応を検討しています。患者さんは,当院での急性期治療後,自宅退院したり,転院して継続治療やリハビリをされており,地域連携医療機関との連携に力を入れています。
消化器内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
060020xx04xxxx 胃がんの内視鏡治療 140 6.88 7.45 0.00% 76.41
060100xx01xxxx 大腸ポリープの内視鏡治療 137 3.13 2.57 0.00% 70.29 大腸ポリープ(2泊3日)
060340xx03x00x 胆管(肝内外)結石、胆管炎の治療 121 8.92 8.88 5.65% 76.68 内視鏡的粘膜下層剥離術
060035xx03xxxx 大腸がんの内視鏡治療 91 6.67 6.39 0.00% 70.23 大腸粘膜下層剥離術
060140xx97x0xx 胃十二指腸潰瘍、胃憩室症、幽門狭窄(穿孔を伴わないもの)の治療  41 12.07 10.93 19.05% 73.98
 消化器内科では,胃がんや大腸ポリープやの内視鏡治療のための入院が多くなっています。がん検診や人間ドックなどで早期に発見されたがんに対する内視鏡治療を行っています。消化管の内視鏡的治療の一例として,胃がんに対する治療があります。早期胃がんに対して上部消化管内視鏡(胃カメラ)を用いて治療を行います。粘膜下層剥離術(ESD)が主な治療方法となっています。次に胆石や胆管炎といった胆道の病気が挙げられます。胆石で胆管が詰まって炎症を起こすなどが典型的な症例で,胆管をチューブで広げる,胆石を除去するなどの治療が内視鏡を用いて開腹することなく行われます。
 消化器がんの治療は,外科,腫瘍内科と連携を取り行っています。
腎臓・内分泌内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
110280xx9900xx 腎炎・腎不全の治療 79 7.44 11.35 9.41% 54.05 透析導入パス
110280xx991xxx 腎炎・腎不全の治療(経皮的腎生検を含む) 71 6.94 6.01 0.00% 54.45 エコー下腎生検
110280xx9901xx 腎炎・腎不全の治療(透析あり) 39 12.28 13.75 5.13% 72.00 ステロイドパルス療法
110260xx99x0xx ネフローゼ症候群の治療 11 21.27 19.53 41.67% 68.73
110280xx02x1xx 腎炎・腎不全の治療(内シャント設置術) 11 41.64 33.81 12.50% 72.27
 腎臓・内分泌内科の最も多い病名は腎炎・腎不全です。これは日本人の高齢化により,高血圧・動脈硬化性疾患の最終像としての腎不全が年々増加している傾向と関連するもので,心臓の病気とも密接な関わりがあります。腎臓の組織を採取する腎生検や,薬物療法のほか血液浄化療法(透析など)を行います。
 また,高血圧症には,血圧を調整するホルモンや血管の異常で血圧が上昇する疾患が隠れていること(二次性高血圧症)もあり,当科では,二次性高血圧症が隠れていないかどうかを詳しく検査しています。
糖尿病・代謝内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
10007xxxxxx1xx 2型糖尿病の治療(インスリン注射あり) 47 17.17 13.77 12.77% 61.11
100040xxxxx00x 糖尿病による意識障害や昏睡の治療 25 15.04 13.07 18.52% 54.96
10006xxxxxx1xx 1型糖尿病の治療(インスリン注射あり) - - 12.60 - -
10008xxxxxx1xx その他の糖尿病の治療(インスリン注射あり) - - 18.56 - -
100180xx991xxx 非機能性副腎皮質腫瘍の検査 - - 3.88 - -
 糖尿病・代謝内科では,糖尿病や脂質異常症・高度肥満症などの代謝疾患について治療を行っています。最も多いのは2型糖尿病の治療となっています。また,近隣医療機関より高血糖の是正やインスリン導入・合併症精査目的に紹介される症例や,他診療科より術前やステロイド導入後の血糖コントロールを依頼される症例が多くを占めています。
 糖尿病については,毎週水曜日の午後に糖尿病教室を開催し,糖尿病患者さんの知識を深めるためのお手伝いに積極的に取り組んでいます。代謝疾患においては,患者さん自身も主治医チームの一員として,医師,看護師,薬剤師,管理栄養士,臨床検査技師,理学療法士などと協力しながら治療することが大切ですので,チーム医療で疾患治療に取り組んでいます。
脳神経内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
010060xx99x40x 脳梗塞(脳卒中発症3日目以内でJCS10未満、発症前ADLが軽度の障害)の治療(脳保護剤使用) 142 16.12 16.89 56.64% 74.99 脳卒中地域連携パス
010060xx99x20x 脳梗塞(脳卒中発症3日目以内でJCS10未満、発症前ADLが軽度の障害)の治療(リハビリあり) 53 17.38 16.94 71.19% 74.19 脳卒中地域連携パス
010061xxxxx0xx 一過性脳虚血発作の治療 35 9.14 6.31 8.11% 68.57 脳卒中地域連携パス
010060xx99x41x 脳梗塞(脳卒中発症3日目以内でJCS10未満、発症前ADLが軽度の障害、てんかんなどの合併症あり)の治療(脳保護剤使用) 24 16.92 29.66 80.77% 84.29
010230xx99x00x てんかんの治療 22 13.27 6.89 19.23% 68.64
 脳神経内科で扱う病気で,最も多いものは急性期脳梗塞となっています。患者さんの状態と,行った治療内容によりDPCコードは異なっていますが,トップ5のうち脳梗塞が大半を占めています。血栓溶解療法で超急性期治療を行えば,後遺症を少なくすることができます。なお,JCSは意識障害の深度を評価する分類で,桁数が大きくなるほど意識レベルが低下していることを表します。
血液内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
130030xx97x50x 悪性リンパ腫の化学療法(リツキシマブ)(好中球減少症への治療薬使用)(輸血あり) 32 25.41 27.53 0.00% 71.84
130030xx99x5xx 悪性リンパ腫の化学療法(リツキシマブ)(好中球減少症への治療薬使用) 21 20.33 19.30 0.00% 68.90
130010xx97x2xx 急性白血病の化学療法(輸血あり) 17 30.47 35.63 5.88% 56.24
130040xx99x5xx 悪性リンパ腫の化学療法(リツキシマブ)(好中球減少症への治療薬使用) 15 6.20 14.69 0.00% 70.87
130010xx99x9xx 急性白血病の化学療法(リツキシマブ)(好中球減少症への治療薬使用) 11 10.18 12.45 0.00% 70.36
 血液内科では,完全無菌室(クラス100)を8床有し,急性白血病や悪性リンパ腫に対する強力な化学療法や造血幹細胞移植にも対応しています。
 造血幹細胞移植は平成15年度から行っており,令和6年度までに計172件の実績があります。
腫瘍内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
060035xx99x6xx 大腸(結腸)がんの化学療法(パニツムマブ) 156 3.63 4.64 0.00% 60.32 2泊3日反復化学療法汎用入院パス
060035xx99x5xx 大腸(結腸)がんの化学療法(ベバシズマブ) 105 3.71 4.42 0.00% 64.88 2泊3日反復化学療法汎用入院パス
06007xxx9904xx 膵臓がんの化学療法(フルオロウラシル+レボホリナートカルシウム+イリノテカン塩酸塩+オキサリプラチン) 88 4.68 5.84 1.14% 68.16 2泊3日反復化学療法汎用入院パス
060040xx99x6xx 直腸がんの化学療法(パニツムマブ) 57 3.74 4.59 0.00% 71.47 2泊3日反復化学療法汎用入院パス
060040xx99x5xx 直腸がんの化学療法(ベバシズマブ) 56 3.36 4.33 0.00% 73.95
 腫瘍内科では消化器がんを中心に,各種進行がんに対して,最新のがん薬物療法を行っています。また,がん薬物療法と並行して緩和支持療法を行い,一人一人の生活スタイルにあった治療を続けられるよう支援しています。
 臓器別の各診療科と連携しながら,原発不明がん,甲状腺がん,皮膚がん,頭頚部がんなど,多くの進行がんの全身治療も担当します。
 治験や臨床試験にも参加し,新しい治療法の開発に寄与しています。
小児科(一般および新生児)
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
080270xxxx1xxx 食物アレルギーの検査 179 1.00 2.10 0.00% 1.86 食物アレルギー負荷試験
040090xxxxxxxx 急性気管支炎、急性細気管支炎、下気道感染症の治療 80 4.24 6.22 2.47% 1.95
040070xxxxx0xx インフルエンザの治療 52 3.65 6.98 1.79% 3.33
140010x199x0xx 低出産体重児(出生時体重2500g以上) 49 5.06 6.11 2.04% 0.00
0400801199x0xx 肺炎の治療 39 5.00 5.61 0.00% 6.08
 小児科では食物アレルギーに対して日帰り入院での検査を行っています。その他に,ウイルス性腸炎や気管支炎,気管支喘息といった小児呼吸器疾患の症例が多くなっています。患者さんの平均年齢が5歳未満であり,小さなお子さんの呼吸器治療の重要性が分かります。
 また,NICU(新生児集中治療室)では,地域周産期母子医療センターとして地域の中心的役割を担い,ハイリスクな分娩をはじめ,周辺地域の産院からの新生児搬送を受け入れ,早産・低出生体重児を中心に診療しています。
 小児外科と連携し,以前は仙台でしか受けられなかった治療の一部についても当院で対応しています。
外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
060160x001xxxx 鼠径ヘルニア(15歳以上)の手術 109 4.87 4.54 2.75% 73.90 成人鼠径ヘルニアSS(前日)
090010xx02xxxx 乳がんの手術(脇の下のリンパ節切除を伴わない乳房部分切除) 91 4.46 5.50 0.00% 65.46 乳腺腫瘍手術(乳房温存用)
060035xx0100xx 大腸(結腸)がんの手術 81 12.56 14.81 3.66% 73.44 腹腔鏡下結腸切除術(前日)
090010xx010xxx 乳がんの手術(脇の下のリンパ節切除を伴う乳房部分切除) 77 9.23 9.77 2.60% 65.82 乳腺腫瘍手術(乳房温存用)
060330xx02xxxx 胆嚢結石、胆嚢の摘出術 64 4.97 5.99 0.00% 63.09 腹腔鏡下胆嚢摘出術(前日)
外科で最も多い症例は鼠径ヘルニアで,子供だけでなく成人にも多くみられ特に40歳以上の男性が多い傾向にあります。次に多いのは乳がんの手術で,乳腺外科指導医を含む2名体制で診療にあたっており,乳房再建実施施設にも認定されています。大腸がんの手術症例も多く,患者さんの経過の一例としては,消化器内科で検査を行った後に外科にて入院,手術を行い腫瘍内科にて化学療法のために計画的に短期入院を繰り返すというものが挙げられます。在院日数も全国平均と比較しても全般的に短い入院期間となっています。胆のう結石症の症例も多く,当院では胆のう結石の手術は腹腔鏡下で行われており,主に患者用パスを用いた入院プログラムで診療しています。
心臓血管外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
050080xx0101xx 弁膜症の手術(ロス手術等)(心臓カテーテル検査あり)(中心静脈注射、人工呼吸あり) 19 21.47 20.84 10.00% 63.79
050161xx9900xx 解離性大動脈瘤の治療 16 20.31 16.32 33.33% 68.25 術前~術後パス
050161xx01x1xx 解離性大動脈瘤の手術 - - 29.35 - -
050090xx97x1xx 心内膜炎の手術(中心静脈注射、人口呼吸あり) - - 46.62 - -
050163xx03x0xx 胸部大動脈瘤の手術 - - 10.18 - -
 地元密着型の地域中核病院の一員として院内に当科を開設し12年目を迎えます。まず何より患者さんとそのご家族との対話を重視し,その上でエビデンスを基本とした治療を行っています。種々の心臓血管外科手術に対応しうる柔軟な技術と体制で日々の診療を行っています。また,急性大動脈解離等の緊急性の高い疾患に対しても対応し,地元の方々の多くのご支援をいただくようになりました。
呼吸器外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
040040xx02x0xx 肺がんの手術(区域切除) 65 7.42 9.82 0.00% 68.43 胸腔鏡下肺葉切除術
040040xx9910xx 肺がんの検査 51 3.14 3.03 0.66% 74.39 外科用気管支鏡(前日入院用)
040200xx01x00x 気胸の手術 19 10.84 9.59 0.00% 35.79 胸腔鏡下自然気胸術SS
040200xx99x00x 気胸の治療(手術なし) 19 7.26 9.28 7.69% 64.11
040040xx97x00x 肺がんの手術(肺葉切除または1肺葉を超えるもの) 17 7.88 11.12 0.00% 71.82 胸腔鏡下肺葉切除術
 呼吸器外科は呼吸器の病気に対し,呼吸器内科や放射線治療科と協力しながら,手術を中心とした治療を行っています。
 手術は,体の負担が少ない胸腔鏡下手術を積極的に採用しているため,平均在院日数が短くなる傾向があります。気胸の手術の方は,原因となっている肺の基礎疾患の状態や手術までの待機日数によって在院日数が長くなる方もいます。
脳神経外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
010040x099000x 非外傷性頭蓋内血腫(JCS10未満)の治療 63 11.41 18.68 88.06% 68.43
010040x199x0xx 非外傷性頭蓋内血腫(JCS10以上)の治療 37 7.54 22.21 81.58% 70.86
160100xx97x00x 頭部外傷の手術 32 9.50 9.83 27.03% 79.19
160100xx99x00x 頭部外傷の治療 27 5.37 7.99 39.13% 78.81
010030xx02x0xx 未破裂脳動脈瘤の手術(脳血管内手術) 17 9.47 8.63 0.00% 66.53
 脳神経外科では,手術を最終手段として,脳のあらゆる疾患を診療しています。主な対象疾患は脳卒中,頭部外傷です。
 脳血管障害については,当院は脳血管内治療指導医在籍施設であり,豊富な治療実績があります。
 くも膜下出血の手術や脳梗塞に対する血行再建術,血管奇形などの治療も行います。
 また,地域がん診療連携拠点病院でもあり,転移性脳腫瘍の治療も増加しています。
整形外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
160800xx02xxxx 股関節・大腿骨骨折の手術(観血的整復固定手術) 201 17.01 25.29 88.61% 83.68 大腿骨診療計画書
070343xx97x0xx 脊柱管狭窄(腰部)の手術 46 16.96 15.41 36.96% 74.85 腰部脊柱管狭窄症・腰椎椎間板ヘルニア
07040xxx01xxxx 股関節骨頭壊死、変形性股関節症の手術 43 21.49 18.76 65.12% 70.14
160800xx01xxxx 股関節・大腿骨骨折の手術 37 15.46 36.42 97.50% 82.92 大腿骨診療計画書
070341xx020xxx 脊柱管狭窄(頸部)の手術 33 19.00 19.40 57.58% 74.09
 整形外科では,頭部と内臓を除く,骨,関節,腱,靱帯,筋肉,末梢神経などの外傷や障害を専門的に担います。
 地域の年齢推移と同様に,大腿骨骨折の症例数は年々増加しています。また,脊柱管狭窄症の症例も増加し,男女別から見ると男性の患者さんが約7割となっています。
 当科では,地域との連携を重視し,外傷の緊急手術や手術目的でご紹介いただいた患者さんに対し迅速に対応し早期機能回復に努め,病院や診療所との連携を通じ,術後リハビリの役割分担をはかりながらADL(人間の基本的な日常動作)の獲得,QOL(生活の質)の向上を目指しています。
形成外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
070010xx970xxx 骨軟部の良性腫瘍(脊椎脊髄を除く。)の手術 15 3.00 4.65 0.00% 41.67
090010xx05xxxx 乳房の再建術(乳房切除後) - - 7.26 - -
160200xx020xxx 顔面損傷(口腔、咽頭損傷を含む。)の手術 - - 5.98 - -
140140xxxxxx0x 口蓋・口唇先天性疾患の治療 - - 8.18 - -
180060xx97xxxx その他の良性腫瘍の手術 - - 5.63 - -
 顔面をはじめとして,体表面のあらゆる変形を扱っています。先天奇形から外傷や手術後の後天性変形まで広く治療します。
 乳がんの治療件数が多いことも当院の特徴です。当院では,外科との連携で,乳房の再建にも対応しています。
皮膚科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
080010xxxx0xxx 膿皮症の治療 21 16.05 12.98 14.29% 71.38
080006xx01x0xx 皮膚がん(黒色腫以外)の手術(その他の手術) 20 7.65 6.92 0.00% 79.70
080190xxxxxxxx 脱毛症の治療 - - 3.29 - -
080020xxxxxxxx 帯状疱疹の治療 - - 9.33 - -
080250xx9701xx 褥瘡潰瘍の手術 - - 42.84 - -
 皮膚科では,皮膚症状(皮膚・粘膜のできもの,じんましん,湿疹など),皮膚の感染症(細菌,ウイルス),皮下腫瘍,皮膚がんなどを扱います。東北大学病院と連携し,患者さんの希望により,セカンドオピニオンとして紹介します。
泌尿器科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
110080xx991xxx 前立腺がんの検査 309 2.04 2.45 0.00% 71.24 前立腺生検
110070xx03x20x 膀胱がんの手術(化学療法あり) 88 5.48 6.63 0.00% 74.41 経尿道的膀胱腫瘍切除術
110080xx01xxxx 前立腺がんの手術 70 8.79 11.11 0.00% 71.96 ロボット支援下前立腺全摘術(前日入院用)
110070xx99x20x 膀胱がんの治療(化学療法あり) 46 7.80 8.64 0.00% 70.63 経尿道的膀胱腫瘍切除術
110310xx99xxxx 腎臓又は尿路の感染症の治療 41 11.41 13.66 24.47% 76.32
 泌尿器科の診療は,がんの検査・治療・手術が中心となっています。前立腺がんや膀胱がんは,高齢の方が多く,尿路感染症で緊急入院される方も多数おられます。治療の中でも抗がん剤,分子標的薬,免疫チェックポイント阻害薬などによる薬物療法は,主に外来にて実施しています。
産科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
120180xx01xxxx 胎児及び胎児付属物の異常(帝王切開術) 54 8.91 9.40 0.00% 32.56 帝王切開(7日目)
120170x199xxxx 早産、切迫早産(妊娠週数34週未満)の治療 22 15.00 19.47 22.73% 28.45
120260x001xxxx 分娩異常時の手術 19 8.37 9.34 0.00% 33.53
120160xx01xxxx 分娩異常時(妊娠高血症候群関連疾患)の手術 - - 12.73 - -
120170x001xxxx 切迫早産の手術 - - 14.10 - -
 当院は地域周産期母子医療センターとして,大崎市を中心に県北までの母体搬送を受け入れ,常位胎盤早期剥離などの緊急の処置が必要な妊婦さんや切迫早産,妊娠高血圧症候群などの妊婦さんを受け入れています。
 産褥においては,お母さんの体調回復はもちろんのこと,母子の生活リズムに沿った母乳育児を目標にしています。
婦人科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
120070xx02xxxx 卵巣の良性腫瘍の手術(腹腔鏡手術) 73 5.16 5.97 0.00% 44.36 ラパロ下手術
120060xx01xxxx 子宮筋腫(良性)の手術 71 9.28 9.20 1.41% 47.41 開腹手術
12002xxx01x0xx 子宮頚がんの手術(子宮悪性腫瘍手術等) 45 8.89 9.84 0.00% 59.56 開腹手術
120060xx02xxxx 子宮筋腫(良性)の手術(腹腔鏡手術) 37 6.68 5.88 0.00% 46.89
120070xx01xxxx 卵巣の良性腫瘍の手術 32 9.81 9.74 0.00% 57.63
 婦人科では,良性疾患に対する手術療法では,可能な限り腹腔鏡下手術を行います。悪性腫瘍(がん)に対しては,手術療法・化学療法(抗がん剤治療)・放射線療法を組み合わせた集学的治療を行っています。
 治療法の選択はガイドラインに則り,さらに患者さんの希望や全身状態,社会的背景を考慮し決定します。
眼科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
020110xx97xxx0 白内障の手術 467 2.02 2.49 0.21% 75.96 白内障
020160xx97xxx0 網膜剥離の手術 49 4.06 7.53 0.00% 60.43 硝子体3泊4日
020240xx97xxx0 硝子体疾患の手術 36 3.81 4.83 0.00% 73.39 硝子体3泊4日
020200xx9710xx 黄斑、後極変性の手術 31 3.94 5.47 0.00% 67.06
020180xx97x0x0 糖尿病性増殖性網膜症の手術 15 4.00 5.89 0.00% 55.53
 眼科の入院はほとんどが手術目的です。
 糖尿病性網膜症や黄斑などの網膜や硝子体の病気は,放置することで失明の危険性がある重篤な病気であり,当院では治療に力を入れています。角膜疾患や重度の緑内障,広範囲の形成手術を必要とするまぶたの疾患など専門性の高い疾患に関しては東北大学病院と連携して治療を行っています。
耳鼻咽喉科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
030240xx99xxxx 扁桃周囲膿瘍、急性扁桃炎、急性咽頭喉頭炎の治療 59 5.78 5.63 0.00% 46.54
030350xxxxxxxx 慢性副鼻腔炎の治療(手術含む) 50 6.16 5.84 0.00% 56.40 鼻内視鏡手術(全麻)
030390xx99xxxx 顔面神経障害の治療 36 8.06 8.50 0.00% 62.14 顔面神経パス
030428xxxxx1xx 突発性難聴の治療 34 8.62 9.42 0.00% 53.97 突発性難聴パス
030400xx99xxxx 前庭機能障害の治療 30 5.23 4.67 2.94% 59.93
 耳鼻咽喉科は宮城県北唯一の耳鼻咽喉科医常勤施設として,耳鼻咽喉科疾患全般に対応しており,できる限り大崎地域で治療が完結するよう努めています。
 突発性難聴や慢性副鼻腔炎などの治療のほか,上気道狭窄や頚部腫瘍,頚部外傷などに対しても手術を行い対応しています。
救急科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
040081xx99x0xx 誤嚥性肺炎の治療 46 4.20 20.78 69.41% 89.89
161070xxxxx00x 薬物中毒の治療 34 2.56 3.58 7.32% 44.09
180010x0xxx0xx 敗血症の治療 17 5.94 20.06 56.41% 82.06
161020xxxxx00x 熱中症,低体温症などの体温異常の治療 15 3.13 6.53 56.25% 70.73
110310xx99xxxx 腎臓又は尿路の感染症の治療 13 3.00 13.66 24.47% 82.00
 救急科では,各科専門医と連携して,病気や症状を限定することなく,救命救急センターにおける特に重症な救急患者の初期診療,重症患者の集中治療,病院前救護,災害医療,メディカルコントロールを行っています。
 当科での初期診療後に入院が必要な場合は,該当する診療科へ円滑な引き継ぎを行っています。また,当地域では夜間入院に対応できる医療機関が限られていることから,地域の医療機関とも連携し,当科での治療後早期に受け入れしていただいています。
 また,薬物中毒の救急疾患による入院も多く,これらの患者さんは精神科的な背景が多いことから,精神科との協力体制が欠かせません。
初発の5大癌のUICC病期分類別並びに再発患者数ファイルをダウンロード
初発 再発 病期分類
基準(※)
版数
Stage I Stage II Stage III Stage IV 不明
胃癌 165 14 23 59 73 163 1 8
大腸癌 111 - 108 130 261 263 1 8
乳癌 73 50 11 - 33 15 1 8
肺癌 100 36 70 41 23 159 1 8
肝癌 - - - 11 - 17 1 8
※ 1:UICC TNM分類,2:癌取扱い規約
 当院は宮城県北唯一の地域がん診療連携拠点病院として,地域の皆さまとともに宮城県北に「がんになっても安心して暮らせる社会」を実現したいと考えています。
 当院では,がんセンターを設置し,腫瘍内科を中心に,がんを扱うあらゆる診療科や職種が連携して診療に携わっています。消化器,肺,血液,泌尿器,婦人科,乳がんなどの領域で,県北のがん診療を支えてきました。
 なかでも消化器内科・外科では胃がん・大腸がん・肝がんの症例を,呼吸器内科・呼吸器外科では肺がんの症例を多く診療しています。乳がんについては乳腺外科にて診療を担当しています。

胃がん・大腸がん
 胃がんは特に早期であるⅠ期の患者さんの割合が高く,早期のうちに内視鏡的治療や腹腔鏡下治療といった比較的体へのダメージが少ない治療を行い,心身の負担を減らそうという試みが表れていると言えます。

乳がん
 乳房は体表面に位置するため,乳房腫瘤の自覚によって乳がんを発見されることが最も多くなっています。また,検診マンモグラフィーの普及により,早期発見される症例も増えています。その結果,Ⅰ期・Ⅱ期が大半を占める状況となっています。

肺がん
 原発性肺がんは5大がんのうち,本邦における全がん死亡数の第1位です。
 このため治りにくいがんの一つに数えられており,病期別に見ると,最も治療成績がよいのは完全切除が期待できるⅠ期であり,Ⅲ期以上になると,手術適応から外れることが多くなります。当院の症例ではⅣ期が多いことから,すでに進行例が多いことがわかります。肺がんの症状には,長引く咳や痰に血が混じる,声がかれる,息が切れやすい,胸の痛みなどがありますが,早期の肺がんではこれらの症状が出ることはあまりなく,症状が出るころにはかなり進行していることが多いと言われています。症状がなくても健康診断を受け,胸部エックス線写真や,胸部CT検査で早期の肺がんを発見することが肺がん治療のカギとなります。

肝がん
 肝がんは,多くの場合自覚症状がほとんどなく,医療機関での定期的な検診やほかの病気の検査のときなどに発見されることも少なくありません。Ⅰ期~Ⅲ期・不明の症例数が10件未満のため件数表示をしていませんが,症状が出るのは病状が進んでから認められることが多くなっています。
成人市中肺炎の重症度別患者数等ファイルをダウンロード
患者数 平均
在院日数
平均年齢
軽症 - - -
中等症 39 16.13 78.46
重症 72 12.75 61.93
超重症 15 12.27 85.13
不明 - - -
 肺炎は,本邦5位の死因です。成人市中肺炎とは,普段の生活の中でかかる肺炎のことを言います。
 重症度が重症と超重症の症例を比べると,市中肺炎は年齢が上がるごとに重症化していることが分かります。
脳梗塞の患者数等ファイルをダウンロード
発症日から 患者数 平均在院日数 平均年齢 転院率
3日以内 315 16.91 75.59 64.44%
その他 23 23.26 70.87 6.03%
 脳神経外科および脳神経内科の症例がほとんどで,発症日から3日以内の急性期脳梗塞が集計全体の9割以上を占めています。
 当院の急性期脳梗塞症例の平均年齢は75歳を超え,高齢者の方が多くなっています。平均して20日ほどの入院期間で治療とリハビリを行います。リハビリを継続するため半数以上の方が,リハビリを専門に行っている病院に転院されています。
診療科別主要手術別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)ファイルをダウンロード
循環器内科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K5951 経皮的カテーテル心筋焼灼術(心房中隔穿刺、心外膜アプローチ) 164 1.63 3.74 0.61% 68.66 高周波カテーテルアブレーション(RFCA)術3泊4日
K5493 経皮的冠動脈ステント留置術(その他) 55 3.33 3.71 5.45% 70.51 経皮的冠動脈形成術(PCI)
K5972 ペースメーカー移植術(経静脈電極) 46 4.65 6.15 13.04% 79.87 ペースメーカー植え込み術(PMI)
K5491 経皮的冠動脈ステント留置術(急性心筋梗塞) 41 0.02 15.22 7.32% 69.02 経皮的冠動脈形成術(PCI)
K5952 経皮的カテーテル心筋焼灼術(その他) 35 2.60 2.86 0.00% 61.46 高周波カテーテルアブレーション(RFCA)術3泊4日
 近年,心不全パンデミックと言われており,高齢者の心不全が増加してきています。新規に導入された心不全治療薬も多くあり,それらを用いて治療を行っています。原因疾患として多いものに,心房細動,心筋梗塞があります。
経皮的カテーテル心筋焼灼術とは,カテーテルアブレーションと言われ,心房細動を治療する手術です。
 ペースメーカー移植術・交換術とは,脈が遅くなってしまい,意識消失したり,心不全をきたしてしまったときに,心臓のリズムを補う役割をしてくれる小さな機械を体に植え込んだり,交換したりする手術です。心臓の動きの監視や治療を行います。ペースメーカーは,心臓の電気的信号を24時間監視し続け,心臓のリズムを整える必要があるときには,電気的刺激を送って治療を行います。
経皮的冠動脈ステント留置術とは,心筋梗塞で詰まった心臓の動脈(冠動脈)を医療用の風船で広げ,また詰まらないようにするためステントと呼ばれる筒状の金属を留置する手術です。
消化器内科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K721-4 早期悪性腫瘍大腸粘膜下層剥離術 147 1.01 4.62 0.00% 69.78 大腸粘膜下層剥離術
K6532 内視鏡的胃、十二指腸ポリープ・粘膜切除術(早期悪性腫瘍胃粘膜) 134 1.01 4.87 0.00% 76.29 内視鏡的粘膜下層剥離術
K7211 内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術(長径2cm未満) 115 1.17 1.02 0.00% 70.43 大腸ポリープ(2泊3日)
K688 内視鏡的胆道ステント留置術 77 2.92 9.29 7.14% 73.66
K6871 内視鏡的乳頭切開術(乳頭括約筋切開のみ) 57 2.58 5.70 7.02% 74.86
 消化器内科では,内視鏡を用いて大腸や胃の病変部を観察し,必要時にポリープや腫瘍を切除しています。最も多く行われているのは早期の大腸がんに対する内視鏡的早期悪性腫瘍粘膜下層剥離術(ESD)で,内視鏡を使って腫瘍を切除する治療法です。胃や十二指腸、大腸ポリープの切除術も2位、3位と並んでいます。上位3つとも共通して術前術後の入院日数が少ないことが特徴です。
 また,救命救急センターを有する当院では,吐下血に対する止血術や,急性胆管炎に対する治療などを緊急時に対応できる体制を整えています。
腎臓・内分泌内科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K6121イ 末梢動静脈瘻造設術(内シャント造設術)(単純) 18 14.61 20.72 22.73% 70.06
K616-41 経皮的シャント拡張術・血栓除去術(初回) - - - - -
K783-2 経尿道的尿管ステント留置術 - - - - -
K616-42 経皮的シャント拡張術・血栓除去術(1の実施後3月以内に実施) - - - - -
K688 内視鏡的胆道ステント留置術 - - - - -
 腎臓・内分泌内科では,地域の先生方との役割分担を進めながら,患者さんのQOL(生活の質)向上のため,透析アクセス関連の手術を他診療科の先生と連携し実施しています。
腫瘍内科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K6112 抗悪性腫瘍剤静脈内持続注入用埋込型カテーテル設置(四肢) 24 7.08 4.38 6.45% 69.75 入院CVポート造設
K635 胸水・腹水濾過濃縮再静注法 10 0.30 7.70 12.50% 64.00 腹水濾過濃縮再静注法
K688 内視鏡的胆道ステント留置術 - - - - -
K735-4 下部消化管ステント留置術 - - - - -
K664 胃瘻造設術(経皮的内視鏡下胃瘻造設術、腹腔鏡下胃瘻造設術を含む) - - - - -
 腫瘍内科では消化器がんを中心に,化学療法(抗がん剤治療)や緩和治療を行っています。
 最も多く行われているのは,抗がん剤治療を行うために必要な点滴薬を注入する際の入り口を作る手術です。カテーテルを埋め込むことで頻回に行われる抗がん剤点滴が安定かつ安楽に行うことができます。次に多いのはがん性の胸水・腹水を穿刺・濾過して必要な成分のみを点滴で戻す治療です。
 腫瘍内科では,患者さん一人一人の生活スタイルに合った治療を続けられるよう支援しています。
外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K672-2 腹腔鏡下胆嚢摘出術 147 1.12 4.34 5.37% 66.33 腹腔鏡下胆嚢摘出術(前日)
K6335 鼠径ヘルニア手術 92 0.97 2.75 2.17% 70.76 成人鼠径ヘルニアSS(前日)
K4762 乳腺悪性腫瘍手術(乳房部分切除術)(腋窩部郭清を伴わない) 92 1.00 2.46 0.00% 65.33 腹腔鏡下結腸切除術(前日)
K719-3 腹腔鏡下結腸悪性腫瘍切除術 78 1.49 11.15 6.33% 73.10 乳腺腫瘍手術(乳房温存用)
K718-21 腹腔鏡下虫垂切除術(虫垂周囲膿瘍を伴わないもの) 37 0.81 3.43 0.00% 47.32
 外科では,院内でも患者用パスを先駆けて導入し治療計画に沿って,様々な病気・手術を担当しています。体への負担を軽減する観点から,内視鏡を用いた手術を積極的に行っています。
 胆のう炎や胆石症などの病気に対して,胆嚢摘出術を行います。急性胆のう炎の場合も,症例に応じてなるべく早期に胆のう摘出術を行います。
 鼠径ヘルニアは,発生する頻度の高いヘルニアで,当院で行う手術数も多くなっています。
 乳がんに対する手術については,乳腺外科指導医を含む2名体制で診療にあたり,根治性と美容面を重視した乳房温存手術,センチネルリンパ節生検を積極的に行っています。乳房再建実施施設にも認定されているので,保険適応でのインプラントを用いた再建が可能です。形成外科の医師と連携し実施しています。 
 大腸がんに対する結腸の切除手術については,地域がん診療連携拠点病院として診療科の垣根を越えた連携のもと,患者さんへの治療方法を選択・実施しています。
心臓血管外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K5612イ ステントグラフト内挿術(胸部大動脈) 17 5.88 13.76 17.65% 74.94
K5551 弁置換術(1弁) 12 10.25 23.83 15.38% 66.67
K5541 弁形成術(1弁) - - - - -
K5522 冠動脈、大動脈バイパス移植術(2吻合以上) - - - - -
K5552 弁置換術(2弁) - - - - -
 カテーテル弁置換,胸部大動脈ステントグラフト,小開胸手術,人工心肺非使用下冠動脈バイパス術等の低侵襲心臓外科治療にも積極的に対応しています。また,急性大動脈解離手術においても積極的なオープンステントグラフト使用により急性期及び遠隔成績の向上に努めています。
呼吸器外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K514-23 胸腔鏡下肺悪性腫瘍手術(肺葉切除、1肺葉超・手術用支援機器使用) 23 1.00 5.26 0.00% 68.52 胸腔鏡下肺葉切除術
K5131 胸腔鏡下肺切除術(肺嚢胞手術(楔状部分切除)) 21 5.43 4.05 0.00% 34.90 胸腔鏡下自然気胸術SS
K514-22 胸腔鏡下肺悪性腫瘍手術(区域切除) 18 1.00 5.39 0.00% 72.17 胸腔鏡下肺葉切除術
K514-21 胸腔鏡下肺悪性腫瘍手術(部分切除) 15 1.27 4.13 0.00% 67.87 胸腔鏡下肺部分切除術
K514-23 胸腔鏡下肺悪性腫瘍手術(肺葉切除又は1肺葉を超える) 13 1.00 7.00 0.00% 69.54 胸腔鏡下肺葉切除術
 呼吸器外科で最も多い手術は,高齢者に発症することが多い原発性肺がんや転移性肺がんに対して肺の一部分を切除する手術です。がんの進行度と悪性度および体の耐術能(手術や麻酔に耐える力)を呼吸器内科や放射線治療科と吟味し,協力しながら患者さんに適した手術選択を心がけています。
 当科での手術は,体の負担が少ない胸腔鏡下手術を積極的に採用しています。また,機能温存のため,気管支形成術,血管形成術などの手術も行っています。また,令和5年1月からロボット支援手術も開始しています。
脳神経外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K164-2 慢性硬膜下血腫穿孔洗浄術 41 1.02 9.44 30.95% 77.76
K1781 脳血管内手術(1箇所) 31 0.52 21.06 19.35% 63.00
K1643 頭蓋内血腫除去術(開頭)(脳内) 13 5.15 18.15 92.31% 59.54
K178-4 経皮的脳血栓回収術 - - - - -
K1771 脳動脈瘤頸部クリッピング(1箇所) - - - - -
 当院には脳神経内科と脳神経外科が密に連携する脳神経センターがあり,最大の特徴は,365日24時間体制で救急医療に対応できる体制を整えていることです。
 脳塞栓症に対する血栓溶解療法に加え,脳神経外科では,カテーテル技術を用いる脳血管内治療のほか,神経内視鏡を用いて小さな傷口で行う脳内出血の除去などを積極的に行っています。
 一刻を争うことの多い疾患に対し,複数の医師,看護師,診療放射線技師,臨床工学技士など多職種が協力しながら治療を行っています。
 手術機器の進化へ対応しながら治療技術を向上し,24時間体制下の救急医療を提供することが使命であり,回復期・慢性期のリハビリテーションや介護に関しては,周辺施設との地域医療連携ネットワークを活用し,地域完結型の医療を目指しています。
整形外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K0461 骨折観血的手術(大腿) 167 4.68 11.12 85.47% 85.33 大腿骨診療計画書
K1426 脊椎固定術、椎弓切除術、椎弓形成術(椎弓形成) 80 2.68 14.63 46.25% 74.58 腰部脊柱管狭窄症・腰椎椎間板ヘルニア
K0811 人工骨頭挿入術(股) 54 7.85 11.37 96.30% 78.54
K0821 人工関節置換術(股) 43 2.84 17.40 62.79% 69.74
K0462 骨折観血的手術(下腿) 42 6.29 13.17 57.14% 59.02
 整形外科で一番多い手術は大腿骨骨折の手術です。多くは大腿骨近位部骨折で骨粗鬆症のある高齢者に多く,骨折の原因は転倒によるものが多くを占めます。2番目に多い手術は,脊椎のヘルニアや頚椎や腰椎の脊柱管狭窄症に対する手術です。
 当科では,救急医療と高度医療に対応すべく,回復期におけるリハビリテーションや介護に関しては,地域の病院や施設との連携を行い,地域完結型の医療を目指しています。
皮膚科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K0072 皮膚悪性腫瘍切除術(単純切除) 24 1.04 7.50 0.00% 79.63
K0052 皮膚、皮下腫瘍摘出術(露出部)(長径2cm以上4cm未満) - - - - -
K0051 皮膚、皮下腫瘍摘出術(露出部)(長径2cm未満) - - - - -
K013-21 全層植皮術(25cm2未満) - - - - -
K0803 関節形成手術(指) - - - - -
 皮膚科では皮膚に発生した腫瘍(できもの)の切除が最も多く行われています。皮膚の悪性腫瘍切除術・摘出術とは悪性の腫瘍(皮膚がん)に対する手術で,腫瘍の種類や広がりなどにより切除する範囲が異なります。単純切除はリンパ節を切除しない手術方法で,比較的早期に発見された場合に行います。上記は入院のみの症例数ですが,当科では日帰り手術を推進しており,日帰り手術の症例数を含めると令和6年度は57件実施しました。
泌尿器科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K8036イ 膀胱悪性腫瘍手術(経尿道的手術)(電解質溶液利用) 145 1.02 3.79 0.68% 75.37 経尿道的膀胱腫瘍切除術
K843-4 腹腔鏡下前立腺悪性腫瘍手術(内視鏡手術用支援機器を用いる) 69 1.04 6.67 0.00% 71.90
K783-2 経尿道的尿管ステント留置術 36 0.28 7.14 11.76% 67.14
K773-2 腹腔鏡下腎(尿管)悪性腫瘍手術 33 1.00 8.03 0.00% 69.12 鏡視下手術
K8411 経尿道的前立腺手術(電解質溶液利用) 23 1.00 4.78 0.00% 68.09 経尿道的前立腺切除術
 泌尿器科の手術は特に膀胱がんが多く,経尿道的手術は県内最多となっており,年間140件以上行っています。第2位は前立腺がんの手術で,ロボット支援腹腔鏡下手術になっています。第3位の経尿道的ステント留置術は,腎臓と膀胱をつなぐ管である尿管が,腫瘍・結石など何らかの原因で狭くなった場合に行う治療です。尿管ステント交換も含めると年間350件以上行っています。第4位は腎がんや尿管がんに対する手術で,今後一部のがんに対してはロボット支援手術を導入していく予定です。
産科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K8982 帝王切開術(選択帝王切開) 65 2.00 6.94 0.00% 32.06 帝王切開(7日目)
K8981 帝王切開術(緊急帝王切開) 34 7.85 7.06 0.00% 32.24 緊急帝王切開(7日目)
K909-2 子宮内容除去術(不全流産) - - - - -
K897 頸管裂創縫合術(分娩時) - - - - -
K851-2 外陰・腟血腫除去術 - - - - -
 産科では,小児科との連携のもと,地域周産期母子医療センターとしての役割を有し,大崎市はもとより,県北広範囲に渡って母体搬送を受け入れています。特にハイリスク妊娠や分娩を取り扱うことが多く,帝王切開術(選択ならびに緊急)が手術症例数の上位となっています。
婦人科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K8882 子宮附属器腫瘍摘出術(両側)(腹腔鏡) 80 0.94 3.21 1.20% 44.56 ラパロ下手術
K877 子宮全摘術 69 1.16 7.22 1.45% 48.94 開腹手術
K877-2 腹腔鏡下腟式子宮全摘術(内視鏡手術用支援機器使用) 37 1.00 5.14 0.00% 49.16
K8881 子宮附属器腫瘍摘出術(両側)(開腹) 34 1.50 7.65 0.00% 57.32 開腹手術
K879 子宮悪性腫瘍手術 24 1.38 7.58 0.00% 61.71 開腹手術
 婦人科では,子宮筋腫・卵巣腫瘍・子宮内膜症などの良性疾患,子宮頚がん・子宮体がん・卵巣がんといった婦人科悪性腫瘍,子宮脱や更年期障害,月経異常などの婦人科疾患の診断・治療にあたっています。治療法の選択はガイドラインに則り,さらに患者さんの希望や全身状態,社会的背景を考慮して決定します。
眼科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K2821ロ 水晶体再建術(眼内レンズを挿入)(その他) 472 0.05 1.04 0.42% 75.90 白内障
K2801 硝子体茎顕微鏡下離断術(網膜付着組織を含む) 115 0.01 3.01 0.00% 64.12 硝子体3泊4日
K2802 硝子体茎顕微鏡下離断術(その他) 40 0.18 3.05 0.00% 72.03 硝子体3泊4日
K281 増殖性硝子体網膜症手術 - - - - -
K2422 斜視手術(後転法) - - - - -
 眼科で多い手術は白内障の手術です。上記は入院での手術件数ですが,外来における日帰り手術も積極的に行っており,令和6年度の外来手術件数は年間約530件でした。
 白内障の手術には糖尿病性網膜症や黄斑などの病気の治療のための手術が上位となっています。この病気は,放置することで失明の危険性がある重篤な病気であり,当院ではより力を入れています。また,専門性の高い疾患に関しては,東北大学病院と連携して治療を行っています。
耳鼻咽喉科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K3772 口蓋扁桃手術(摘出) 68 1.00 5.66 0.00% 29.60 成人用口蓋扁桃摘出術
K340-5 内視鏡下鼻・副鼻腔手術3型(選択的(複数洞)副鼻腔手術) 45 1.11 4.18 0.00% 59.80
K368 扁桃周囲膿瘍切開術 20 0.10 4.95 0.00% 44.80
K4571 耳下腺腫瘍摘出術(耳下腺浅葉摘出術) 10 1.00 4.60 0.00% 59.60
K333 鼻骨骨折整復固定術 10 1.00 1.00 0.00% 19.90
 宮城県北唯一の耳鼻咽喉科医常勤施設として,耳鼻咽喉科疾患全般に幅広く対応しています。
 慢性副鼻腔炎,扁桃周囲膿瘍などの手術が上位を占めています。
 その他,慢性中耳炎に対する鼓室形成術をはじめ、顎下腺・耳下腺腫瘍摘出,早期喉頭がんに対するレーザー手術など幅広い領域に対してより専門性の高い手術を行っています。
その他(DIC、敗血症、その他の真菌症および手術・術後の合併症の発生率)ファイルをダウンロード
DPC 傷病名 入院契機 症例数 発生率
130100 播種性血管内凝固症候群 同一 - -
異なる - -
180010 敗血症 同一 59 0.44%
異なる 16 0.12%
180035 その他の真菌感染症 同一 - -
異なる - -
180040 手術・処置等の合併症 同一 21 0.16%
異なる - -
 上表の4つの傷病は,治療を行う上でゼロにはなり得ませんが,医療の質向上のため,少しでも改善すべきものとして挙げられている疾患です。入院契機欄の「同一・異なる」については,患者さんが入院するきっかけとなった病気や症状と最終的な診断名が同一か異なったかという意味となります。
 播種性血管内凝固症候群(DIC)や敗血症は他病院等からの紹介が入院の契機となる患者さんのほか,重篤な外傷や,がんあるいは大手術後に合併症として発症することもあります。救命救急センター(三次救急病院)を有しているため,生命の危機にある重篤な方を多く受け入れていることも発生の一要因であると考えられます。DPC病名と入院契機病名が異なった患者さんの内訳は,がんや感染症で入院後も全身状態が悪化しDICや敗血症といった重症な病態となった症例です。
 手術・処置などの合併症には,透析シャント機能低下(透析を行う際たくさんの血流を確保するために動脈と静脈をつなぎ合わせる血管(シャント)の機能が低下すること)や薬物性ショック(薬により重症なアレルギー症状がでること)などがあります。すべてが入院契機病名と最終的な診断名が同一であったケースで,これは合併症の治療を入院目的として入院され,治療を受けたことを示します。
 手術や処置などは合併症を起こさないように細心の注意を払って行っていますが,合併症はどうしても一定の確率で起こり得ます。起こり得る合併症については,事前に可能な限り患者さんに説明し同意いただいたうえで,手術や処置を実施しています。
リスクレベルが「中」以上の手術を施行した患者の肺血栓塞栓症の予防対策の実施率ファイルをダウンロード
肺血栓塞栓症発症のリスクレベルが
「中」以上の手術を施行した
退院患者数(分母)
分母のうち、肺血栓塞栓症の
予防対策が実施された患者数(分子)
リスクレベルが「中」以上の手術を
施行した患者の肺血栓塞栓症の
予防対策の実施率
2074 2038 98.26%
 肺血栓塞栓症の発生リスクがある程度以上あると認められた患者さんへの手術の際に,予防対策がなされたかどうか,実施割合を表しています。
 肺血栓塞栓症とは,下肢や腹部にできた血のかたまり(血栓)が,心臓から肺に血液を送る動脈(肺動脈)に詰まってしまう病気です。この予防には,血液の凝固を抑える薬剤を使用したり,脚に医療用の弾性ストッキングを履くこと等が有効とされています。
 当院では,令和4年10月に深部静脈血栓症予防ガイドラインと関連マニュアルの改訂を行い,継続的に全職員へ周知しましたが,対象患者数の増加も見られることから,引き続きリスク評価や予防方法等の職員の知識や理解度を深め,予防対策実施率の向上に努めていきます。
血液培養2セット実施率ファイルをダウンロード
血液培養オーダー日数(分母) 血液培養オーダーが1日に
2件以上ある日数(分子)
血液培養2セット実施率
2347 1824 77.72%
 血液は通常無菌状態で保たれていますが,感染が起こった場所から血液内へ病原菌が進入すると,病原菌が全身に広がり,菌血症や敗血症という重篤な感染症となります。それを防ぐためには,速やかに起炎菌を特定し治療に効果的な抗菌薬を選択する必要があります。抗菌薬使用後では陽性率が著しく低下するため,抗菌薬投与前に実施します。2セット実施率は血液培養が適正に検査されているかの指標の一つで,意義は,血液量を多くして検出感度を高め,表皮ブドウ球菌など皮膚常在菌の汚染を鑑別し,起炎菌を特定することです。
 当院では,90%以上を目標に,抗菌薬適正使用支援チームが血液培養検査結果をもとに適正な検査,抗菌薬投与が行われているかについてカンファレンスを行っています。
広域スペクトル抗菌薬使用時の細菌培養実施率ファイルをダウンロード
広域スペクトルの抗菌薬が
処方された退院患者数(分母)
分母のうち、入院日以降抗菌薬処方日
までの間に細菌培養同定検査が
実施された患者数(分子)
広域スペクトル抗菌薬使用時の
細菌培養実施率
1345 989 73.53%
 広域抗菌薬は幅広い種類の細菌に効果がありますが,過剰に使用すると薬剤耐性菌が増殖し,治療の選択肢が狭くなります。培養検査を行うことで,感染症の原因となる細菌を特定し,その細菌に効果的な抗菌薬を選択して,より効率的な治療を行うことができます。
 使用前や投与開始時の血液培養検査の実施が推奨されており,実施率はより高い方が望ましいとされています。当院ではさらに高い値となるよう抗菌薬投与前の適切な検体採取と培養検査の推進に努めていきます。
転倒・転落発生率ファイルをダウンロード
退院患者の在院日数の総和
もしくは入院患者延べ数(分母)
退院患者に発生した転倒・転落件数
(分子)
転倒・転落発生率
128686 297 0.23%
 この指標は,患者さんの転倒・転落のリスク管理がどれだけ効果的に行われているかを示しています。
転倒転落によるインシデント影響度分類レベル3b以上の発生率ファイルをダウンロード
退院患者の在院日数の総和
もしくは入院患者延べ数(分母)
退院患者に発生したインシデント
影響度分類レベル3b以上の
転倒・転落の発生件数(分子)
転倒転落によるインシデント影響度
分類レベル3b以上の発生率
128686 11 0.008%
 一般的に,転倒転落は入院中の患者さんが活動する限り完全に防ぎきることは難しいとされています。そのため,転倒・転落の発生そのものを減らすだけでなく,たとえ転倒が起こってしまっても,その結果として重篤な傷害が発生しないよう予防策を講じることに重点を置いています。
 インシデント影響度分類レベル3b以上とは損傷レベルの高いもの(手術や大きな処置を必要とする)を指します。
手術開始前1時間以内の予防的抗菌薬投与率ファイルをダウンロード
全身麻酔手術で、
予防的抗菌薬投与が実施された
手術件数(分母)
分母のうち、手術開始前
1時間以内に予防的抗菌薬が
投与開始された手術件数(分子)
手術開始前1時間以内の
予防的抗菌薬投与率
2960 2926 98.85%
 手術直前まで細菌感染を起こしていない場合で,かつ手術後の感染をできるだけ防ぐために,抗生物質をあらかじめ投与することを予防的抗菌薬投与といいます。
 手術開始前1時間以内の予防的抗菌薬投与率とは,手術部位感染(Surgical Site Infection: SSI)の予防を目的とした,科学的根拠に基づいた医療の実践度合いを示しています。この数値が高いことは,病院が手術部位感染予防に積極的に取り組んでおり,患者さんに安全な医療を提供しようと努力していることを示しています。
 開胸,開腹を伴う手術等は,手術開始直前に抗菌薬を点滴などで投与することにより,手術後の感染を抑えることが期待されています。
d2(真皮までの損傷)以上の褥瘡発生率ファイルをダウンロード
退院患者の在院日数の総和もしくは
除外条件に該当する患者を除いた
入院患者延べ数(分母)
褥瘡(d2(真皮までの損傷)以上
の褥瘡)の発生患者数(分子)
d2(真皮までの損傷)以上の
褥瘡発生率
128432 128 0.09%
 褥瘡は,看護ケアの質評価の重要な指標の1つとなっています。褥瘡は患者さんの QOL の低下をきたすとともに,感染を引き起こすなど治癒が長期に及ぶことによって,結果的に在院日数の長期化や医療費の増大にもつながります。そのため,褥瘡予防対策は、提供する医療の重要な項目の 1 つにとらえられ,平成10 年からは診療報酬にも反映されています。
65歳以上の患者の入院早期の栄養アセスメント実施割合ファイルをダウンロード
65歳以上の退院患者数
(分母)
分母のうち、入院後48時間以内に
栄養アセスメントが実施された
患者数(分子)
65歳以上の患者の入院早期の
栄養アセスメント実施割合
8537 6305 73.85%
 高齢者は,複数の疾患を抱えていることが多く、入院という環境の変化や,疾患そのものによって、栄養状態が急激に悪化しやすいという特徴があります。よって,65歳以上の患者の入院早期の栄養アセスメント実施割合は,高齢患者の医療の質を評価する上で非常に重要な指標となります。
身体的拘束の実施率ファイルをダウンロード
退院患者の在院日数の総和
(分母)
分母のうち、身体的拘束日数の総和
(分子)
身体的拘束の実施率
128686 6862 5.33%
 医療機関や介護施設において,身体的拘束は、患者さんや他の患者さんの生命や身体を保護するため,緊急やむを得ない場合にのみ,最小限に実施されるべきものとされています。
 当院では,令和7年1月に「身体拘束最小化のための指針」を策定し,患者さんの尊厳と主体性を尊重し,組織的に身体拘束の最小化に取り組んでいます。
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